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記事 · 石積み 2026-07-10

空積みと練積み、どちらを選ぶべきか

地盤条件と用途から判断する石積み工法の基礎知識
中
中川 凛
代表・石工
2026-07-10
古い石垣の前に置かれた木の荷車と桶

石積みの工法には大きく分けて「空積み(からづみ)」と「練積み(ねりづみ)」の2種類があります。どちらを選ぶかは見た目の好みだけでなく、地盤の状態・敷地の傾斜・法的な要件によって決まります。間違った工法を選ぶと、数年後に石が崩れたり、確認申請が通らなかったりするリスクがあります。

空積みの特徴と適した条件

空積みはモルタルを使わず、石を組み合わせるだけで積み上げる工法です。石と石の隙間から水が自然に抜けるため、排水性が高く、地盤が柔らかい場所でも石が動きに追従しやすいという利点があります。

ただし、空積みは高さに制限があります。擁壁として土を支える場合、高さが2メートルを超えると建築基準法上の工作物として確認申請が必要になるのが一般的です。がけに近い敷地や宅地造成にあたる工事では、それより低くても自治体の規制や指導の対象になることがあり、長崎市内の斜面地では、計画の前に市の担当窓口で確認しています。庭の低い段差(50センチ程度まで)や、排水を重視した花壇の縁石などに適した工法です。

練積みが必要なケース

練積みはモルタルで石を固定する工法で、高さのある擁壁や、荷重がかかる場所に使います。長崎の斜面地では、高さのある擁壁に練積みやコンクリート擁壁が求められるケースが多くなります。具体的な基準は敷地ごとに異なるため、事前の確認を済ませてから工法を決めます。

練積みの注意点は、水抜き穴の設置です。モルタルで石を固めると排水性がなくなるため、擁壁の背面に水が溜まり、水圧で石が押し出されることがあります。水抜き穴は3平方メートルに1か所以上、直径75ミリ以上のパイプを設置することが標準的な仕様です。

コストと工期の比較

一般的に、空積みは石の組み合わせに熟練が必要なため施工に時間がかかりますが、材料費(モルタル・型枠)が少ない分、材料コストは低くなります。練積みは材料費がかかる一方、石の固定が確実なため施工スピードが上がる場合があります。

どちらの工法が適しているかは、現地の地盤調査と敷地の高低差を確認してから判断します。見た目の好みだけで工法を決めると、後から確認申請の問題が出ることがありますので、計画の早い段階でご相談ください。

空積みか練積みかの判断は、地盤・高さ・法的要件の3点を整理してから行います。どちらが適しているか迷っている場合は、現地を見てから工法をご提案しますので、まずはお問い合わせください。

#石積み#擁壁#空積み#練積み#長崎

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